弁護士に調査や裁判を依頼することを考えているのですが、どれくらい費用がかかるのでしょうか。
費用は、大きく分けて「調査段階」と「責任追及段階」の2段階に分けられます。
1 調査段階
医療事件の法律相談のみで、法律上の責任が問えるかどうか判断できることが稀なことは、Q2の回答のとおりです。通常、法律相談後に、弁護士が調査を受任します。
調査に要する費用としては、大きく分けて実費と弁護士費用があります。
実費の主なものとしては、証拠保全でのカメラマンの費用(カルテの分量にもよりますが、数万円から、入院期間1ヵ月程度で10万円前後の費用がかかります。但し、あくまで事案によるので、場合によっては数十万円の費用がかかる場合もあります。)、協力いただく医師への謝礼(1回の面談につき3~5万円の場合が多いです。)、医学文献のコピー代、カルテの翻訳費用などがあります。
弁護士費用については、医療問題弁護団では、調査を受ける場合、原則30万円(消費税別)としています。
2 責任追及段階
調査が終了し、法的責任を問い得ると判断される場合に、責任追及の法的手段としては、示談交渉、調停・ADR申立、訴訟提起などがあります。責任追及をするにあたっては、調査とは別に委任契約を締結します。実費および弁護士費用についても調査段階とは別途必要となります。
訴訟等の実費としては、主に裁判所に納める印紙代・切手代、訴訟記録などのコピー代、交通費、医学文献の収集費用、鑑定費用、協力医への謝礼、協力医に依頼して書いてもらう私的意見書の費用などがあります。印紙代は、請求する金額によりことなりますが、1000万円を請求する場合で5万円となります。また、鑑定費用は東京地方裁判所では通常66万円(3人の医師によるカンファレンス鑑定)です。私的意見書の費用はおおよそ20~40万円程度ですが、これより高額になる場合もあり得ます。
弁護士費用は、大きく分けて着手金と報酬金に分かれます。着手金は示談交渉活動や訴訟活動を受任する際にお支払いいただくもので、結果にかかわらず基本的には返還されません。報酬金は事件が解決した際に、依頼の目的の達成度に応じてお支払いいただくものです。着手金と報酬金の金額は、請求金額、事案の複雑さ等により様々です。担当弁護士から十分に説明を受けた上で契約をしてください。