医療問題弁護団40周年記念シンポジウム雑感

 10月28日(土)、医療問題弁護団設立40周年の記念シンポジウムが開催されました。医療従事者、医療事故被害者、患者側弁護士、医療側弁護士、ジャーナリスト等々各方面から多数の参加者を得て、主として、医療安全という切り口で医療現場の現代的課題について報告と意見交換が交わされました。

 医療が高度化・分業化し続ける現代の医療現場において、患者が安全で適切な医療を受けるためには何が必要か?事故防止のためのチェックシステムの整備、医師・医療従事者の労働環境の改善、医療安全につながる大学教育や生涯教育の整備、医療安全の意識の醸成など様々な課題が浮き彫りになりました。

 その詳しい内容は、改めてホームページなどで報告される予定です。

 ところで、ここでは少し視点を変え経済的観点から考えてみます。上記の如き医療安全を実現するためには、相当の社会資本や、医療機関も自ら予算を投入しなければならず、そこには低くはないコストの壁もあることがしばしば指摘されます。しかし、近時の某自動車会社や、某鉄鋼会社、某電機会社など枚挙に暇のない負の事件を挙げるまでもなく、事件や事故による有形・無形の大きな損失を予防するために予算を使うことは、バランスシート的にも売上という利益を挙げるのと同等以上のメリットがあるとも指摘されています。

 この点についての意識改革も望まれます。

何れにしても、医療安全のためには、ある意味で、患者も医療機関も各代理人弁護士も同じ方向に向かって進んでいくことが大切な時代に入ってきていることを痛切に感じさせるシンポジウムでした。

(医療問題弁護団HP班 飯塚 知行)